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遺言・相続~遺言書とは~
本日は、相続にとって関係の深い遺言書についてお話しします。
遺言書ときいて、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
どちらかというと「後ろ向き」でネガティブなイメージを持たれるのではないでしょうか。
皆さん、そのイメージは誤解です!
遺言書とは、故人が最後の想いを伝え、残された方々がモメたり、トラブルが起きないようにするためには欠かすことができないものであり、けして「後ろ向き」なものではなく「前向き」なものです。
遺言に対するよくある誤解
①「円満な我が家に遺言は必要ない」
現在、家族が円満なのは、あなたが束ねているからではないでしょうか。
相続はあなたが死亡したときに発生します。
あなたがいなくなっても家族は、円満でしょうか?
②「遺言を残すほどの財産はない」
本人は「たいした財産でない」と思っていても、承継する側は「たいした財産」ということはよくあります。
平成24年度法務省司法統計の「遺産分割事件の財産額」によると、1千万円以下の遺産で紛争になり、家庭裁判所に調停が成立した件数が、全体の約3分の1におよびます。
「争続」とは、けしてサスペンスドラマに出てくるようなお金持ちに限った話ではないのです。
③「遺言は縁起が悪い」
遺言は「死」を前提としていますので「縁起が悪い」と考えられがちです。
しかし、私が業務を通じて知る限り、遺言を残して後悔した方は過去一人もいません。
むしろ、遺言によって「爽快感」と「達成感」を得られたという声をよく聞きます。
「爽快感」
今まであれこれと頭の中で思い悩んでいたことが、遺言書という紙にはっきりと表現されて、気持ちを整理することができる。
「達成感」
遺言を残すために法律を学んだり、財産を整理したり、人生を振り返ったり、家族のことを考えたり、遺言者はさまざまなことを乗り越えて遺言書を作り上げます。困難を乗り越えてできた遺言書を見ると、達成感を得ることができます。
④「遺言を残すにはまだ早い」
遺言書を残すには想像以上に心理的負担がかかります。
よって、遺言は心身の状態のよいときが「残し時」です。
また、民法963条では「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」と規定しており、病気や高齢のときに残した遺言は「遺言能力に疑いあり」として無効となる可能性があります。
⑤「遺言を残したら行動が制限される」
「遺言に記載した財産は売却などの処分ができなくなる」など、遺言の内容に抵触する行為はできないと思っている方がいます。
しかし遺言は、死後行為であり、遺言者が死亡して初めて効力が生じます。
また、遺言の内容と抵触する生前処分の行為は遺言を撤回したものとみなされます。
遺言とは相手のいない法律行為ですので、本人の自由に変更したり撤回したりすることが可能です。
遺言を残したからといって、その後の人生を縛られるということはありません。
私は、死ぬことは生きることと同じぐらい大切なことだと考えています。
人間、誰もがいつかは、死にます。そのいつかのために準備することを、「後ろ向き」ではなく「前向き」に考えることによって、より「前向きに」生きていけるのではないでしょうか。
遺言書を作成しておけば、自分の意思を遺族に伝えることができます。
自らの意思を書面に表示することで、多くの相続争いを防止することができるのです。