2014-09

遺言・相続~相続廃除・相続欠格~

 

本来、被相続人(相続される人)との一定の身分関係によって相続人となる資格のある人は、当然に被相続人の死亡によって相続人になります。

 

しかし、相続廃除の申立てを家庭裁判所に行い、その申立てが認められた場合には、相続廃除となり、相続人 としての地位を失い相続することはできなくなることがあります。

 

また、相続人の不正行為によって、相続欠格事由に該当する場合には、被相続人の意思とは関係なく自動的に相続人としての地位を失い相続することができなくなります。

 

ちなみに、相続廃除や相続欠格によって相続権を失った人に直系卑属(子や孫など)がいる場合には、代襲相続(代わって相続人になること)が成立します。

 

 

相続廃除

 

「親に対したびたび、暴力を振る」などの理由で、そんな子供には一切の遺産を与えたくない場合でも、子供には遺留分という権利があり相続分をゼロとすること はできません。

 

このような場合に、家庭裁判所へ、相続人廃除の申立を行い、申立が認められれば、当該相続人の相続権を完全に喪失させることができます。

 

相続廃除の制度を利用できるのは、遺留分のある相続人に対してのみです。

兄弟姉妹などの、そもそも遺留分の無い相続人は、遺言書を作成して相続させないようにできますので、相続廃除の制度によって相続権を喪失させることはできません。

 

相続欠格

 

相続欠格とは、被相続人の意思で行われる相続廃除とは異なり、民法に定められた5つの事由がある場合に、相続権を法律上当然に喪失することをいいます。

 

①故意に被相続人または先順位・同順位の相続人を殺害、または殺害しようとして刑を受けた者

②被相続人が殺害されたことを知って、これを告訴・告発しなかった者

③詐欺または脅迫によって、被相続人が遺言をしたり、撤回・取消・変更することを妨げた者

④詐欺または脅迫によって、被相続人に遺言させたり、撤回・取消・変更をさせた者

⑤被相続人の遺言を偽造、変造、破棄、隠匿した者

 

以上の事由に該当する人は何らの手続も必要とせず、自動的に相続権を失うことになります。

2014-09-19 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~秘密証書遺言~

本日は、遺言方式の中でもとてもマイナーな「秘密証書遺言」についての記事です。

あまりお勧めできない方式ですが、いちおう紹介しておきます。

 

秘密証書遺言は、遺言する人が自分で作成した遺言書を公証役場へ持っていき、遺言書の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在のみを公証人に証明してもらいます。

 
公証人に存在を証明してもらえるので、自筆証書遺言のように、遺書が本物かどうかといった遺族の間で争いは起きません。
また、公正証書遺言のように遺言の内容を人に知られてしまうこともありません。

 

遺言書は、自分で署名押印さえすれば、パソコンを使ったりまたは代筆してもらったりしてもかまいませんので、病気等で手が不自由になり、字が書けなくなった方でも利用することができます。

 

なお、公証人は遺言の内容までは確認しませんので、遺言としての要件が欠けており無効となってしまう可能性が無いわけではありません。
また、遺言者が亡くなると、遺言書の保管者や、これを発見した人は、家庭裁判所に届け出て検認手続を受けなければなりません。

 

遺言作成費用を抑えたいが、病気などで自書が困難な事情がある場合や、毎年書き換えるなど、頻繁に変更や撤回する予定があり遺言作成費を抑えたいなどの理由で、どうしても秘密証書遺言を作成したい場合以外は、公正証書遺言を選択した方が良いと思います。

 

以上の内容を以下にまとめます。

 

特徴

公証人と証人2名の立会いのもとに公証役場で作成する。

署名・押印さえできれば、字の書けない者でも作成可能。

公証されるので、偽造・変造の恐れは無いが、遺言書の保管は自身で行うため、紛失・未発見の可能性はある。

 

作成方法

遺言者が署名・押印し、封印した書面を公証役場へ持ち込む。

 

秘密性

遺言の存在は明確にするが、内容の秘密は守れる。

 

作成費用

内容に関わらず一律1万1千円

 

証人

2人以上必要

 

保管方法

遺言者本人で保管するか、遺言者が死亡したことをすぐに知ることができる立場のもので、信頼のおける者に保管をゆだねる。

 

家庭裁判所への検認

必要

2014-09-18 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~公正証書遺言~

 

前回の自筆証書遺言に引き続きまして今回は、公正証書遺言について説明します。

 

公正証書遺言とは、公証役場で公証人と証人2名の面前で作成される遺言のことです。

 
遺言者が公証人役場まで行けないときは、出張費を払い遺言者の自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。
また、聴覚・言語機能に障害のある人は手話などによる通訳(手話通訳方式)や筆談(筆談方式)によっても手続きができます。

 
作成された公正証書遺言の原本は、公証人によって保管されますので、紛失や偽造される心配はありません。
また、万一、正本を紛失しても再交付を受けることができます。
この遺言方法は、「本人が自分の意思で作成した」という信憑性がきわめて高いので、検認なしで相続開始後ただちに遺言を執行できます。

 

デメリットとしては、「遺言の内容を公証人と証人に知られてしまう」ことや「作成に手間と費用がかかるため遺言者の負担が大きい」等があります。

 

以上の内容を以下にまとめます。

 

特徴

作成に手間がかかり手数料も発生するが、遺言の内容がほぼ確実に実現される。

 

作成方法

証人2名の立会いのもと、公証人が読み上げる遺言書の内容を、遺言者が確認して、内容に間違いがなければ遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名・押印する。

 

秘密性

遺言の存在、内容共に秘密にできない。証人から内容が漏れる可能性がある。

 

作成費用

財産の額や内容に応じて公証役場に手数料を支払う。
(手数料の例)
・100万円以下は5000円
・100万円越え200万円以下は7000円
・200万円越え500万円以下は1万1000円

 

証人

2人以上必要

 

保管方法

「原本」は公証役場に保管され、「正本」「謄本」が遺言者に交付される。
遺言の執行は「正本」「謄本」のいずれでも可能。
「謄本」を遺言者が保管し、「正本」を遺言者が死亡したことをすぐに知ることができる立場の者で、信頼のおける者に保管をゆだねる。

 

家庭裁判所への検認

不要

2014-09-17 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~自筆証書遺言~

 

前回の記事で書きましたように、遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があります。

そのなかで、本日は、自筆証書遺言について説明します。

 

自筆証書遺言は、遺言者が、紙に、自ら、遺言の内容の全文を書き、かつ、日付、氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成する遺言で、パソコンやタイプライターによるものは無効となります。

ですから、病気等で手が不自由になり、字が書けなくなった方は、利用することができません。

 

自筆証書遺言の長所は、費用もかからず、手軽に作成できることです。

しかし、遺言者が自分ひとりで作成するので、内容上、方式上の不備で、後に紛争の種を残したり,無効になってしまう可能性があります。

また、保管方法が自己責任に委ねられるので紛失や偽造、変造、破棄の危険性があります。

 

相続の開始後は、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、家庭裁判所に遺言書を提出して、検認の手続きをします。
ちなみに検認手続を怠ると、5万円以下の過料の制裁があります。

 

以上の内容を以下にまとめます。

 

特徴

自分で書いて作成するので、費用がかからず手軽にできるが、信憑性が低い。

 

作成方法

遺言者が、「全文」「日付」「氏名」を自書して「押印」する。

 

秘密性

自己完結できるので、遺言の存在、内容共に秘密にできる。

 

作成費用

不要

 

証人

不要

 

保管方法

遺言者本人で保管するか、遺言者が死亡したことをすぐに知ることができる立場のもので、信頼のおける者に保管をゆだねる。

 

家庭裁判所への検認

必要

2014-09-16 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~遺言書の種類~

 

遺言書は、思いつくまま自由に書けばいいというものではありません。

 

遺言書は、遺族の将来に大きな影響を及ぼす可能性がある重要な書類ですので、遺言書の要件は民法で厳密に定められています。

 

せっかく作成した遺言書も、定められた要件に不備があると、法的に「無効」になってしまいます。

 

通常、遺言書を作成する際には、次の3種類の遺言状の作成方法から選択することになります。

 

①自筆証書遺言

 

自筆証書遺言なので、パソコンやワープロなどによるものは無効となり、遺言者が、その全文、日付、氏名を自筆で記載しなければなりません。

自分ひとりで、遺言を残すことができます。

 

②公正証書遺言

 

公正証書遺言とは、遺言書を公正証書にして公証人役場に保管してもらう方式です。

遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、公正証書遺言として作成します。

 

③秘密証書遺言

 

秘密証書遺言は、遺言者自身で作成した遺言書を公証役場に持っていき、遺言書の「内容」は秘密にしたままで、遺言書の「存在」だけを公証人に証明してもらいます。

①と②の特徴を足したような方式になります。

 

以上の3種類の遺言方式には、それぞれメリット・デメリットがありますので、自分に合った方式を選ぶことが大切です。

 

 

2014-09-15 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~遺言の効力発生と撤回~

 

遺言は、遺言者が法令に規定されている方式に従って遺言書を作成することによって成立します。

しかし、遺言書を作成しただけで、効力を発するわけではありません。

では、いつ発生するのでしょうか?

 

遺言効力の発生

 

遺言は、遺言者が亡くなった時点ではじめて効力が発生します。

遺言は、遺言者の最終の意思を尊重する制度であり、人は、気が変わるものなので、遺言の成立時にその効力の発生を認めてしまうと具合が悪いんです。

よって、遺言の効力は、遺言の成立時でなく、遺言者の死亡の時から発生するとされています。

 

遺言の撤回、変更の自由

 

遺言者の存命中は、遺言の効力が生じておりません。

ですから、遺言者はいつでも、遺言の方式に従い、遺言の全部又は一部を撤回することができます。
また、遺言者が遺言で規定した内容と異なる生前処分を行うことも自由です。

その場合、生前処分と抵触する部分については遺言を撤回したものとみなされます。

 

遺言によって利益を受けるものの地位

 

遺言によって利益を受ける者は、遺言者の死亡によって、はじめて法律上の権利を取得することになります。
それゆえ、遺言者の生前には、これらの者が一切の権利を主張することはできません。

例えば、受遺者が遺言者の死亡以前に死亡したときは、遺贈の効果そのものが生じないとされています。

2014-09-14 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~遺言の自由と制限~

 

本日は、遺言書を作成する際に注意しないといけない、遺言の自由と制限について解説します。

 

遺言によって財産を与えることを、遺贈といいます。

遺贈は、生前自由に処分できた自分の財産を、遺言という最終意思表示によって処分することです。

ですから、どのように処分しようと原則として自由ですあり、遺言を「する・しない」、変更・撤回を「する・しない」の自由が法律で保障されています。

 

しかし、原則があれば例外もあり、いくつかの制限もあります。

 

・遺言能力による制限

以前の記事にも書きましたが、遺言能力がないと遺言を残すことができません。

「満15歳未満の者が作成した遺言書」や「精神障害などで判断力がない者の遺言書」などは無効となります。

 

・遺留分による制限

遺言の内容に関わらず、一定の相続人が最低限相続できる財産のことを遺留分といいます。

遺留分が保証されている相続人は、配偶者、子供、父母です。

法定相続人の第3順位である兄弟は、遺留分を保証されていません。

ただし、遺留分を侵害した遺言であっても、遺言自体は有効であり、遺留分を侵害された者は、遺留分を請求できる権利があるにすぎません。

 

・公序良俗による制限

公序良俗(こうじょりょうぞく)とは、「公の秩序又は善良の風俗」の略であり、これに反する事項を目的とする法律行為は無効とされます。

例えば、「俺の代わりにあいつを殺してくれたら~」などが論外なのはお分かりいただけるでしょうが、「婚姻外の愛人に~」などは判例で、有効となったケースと無効となったケースがありますので、ご注意ください。

ちなみに、他の遺言内容に問題がなければ、公序良俗に反する部分のみが無効となり、遺言全体が無効とされるわけではありません。

 

 

遺言の内容を考える際には、以上の点にご注意ください。

 

 

 

2014-09-13 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~相続の基本原則~

 

今回は、相続の基本知識として要点をまとめてみました。

 

 

①相続開始の原因(「いつ」相続が発生するのか)

 

相続の開始要件は被相続人(相続される人)の死亡です。

 

 

②相続人(「だれが」相続するのか)

 

民法に定める相続人の種類は「血族」と「配偶者(夫や妻)」の2類型あります。

 

[第1類型]・・・血族

 

血族には順位があり、先順位の者がいれば、後順位の者は相続人にはなりません。

 

第1順位  死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

 

第2順位  死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

 

第3順位  死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

 

ちなみに、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。

 

[第2類型]・・・配偶者

 

配偶者は血族に関係なく第1順位で相続人となります。

ただし、内縁者に相続権は認められません。

 

 

③相続財産(「なにを」相続するか)

 

原則として相続が開始すると、被相続人の財産の属した一切の権利義務は、すべて相続人が承継します

ただし、原則があれば例外もあります。

 

例外1:被相続人の一身に専属したもの

「一身専属権」とは、個人の人格・才能や地位と密接不可分の関係であるため、他人による権利行使・義務の履行を認めるのが不適当な権利義務をいいます。(雇用契約による労働条件、生活保護の受給権、公営住宅の使用権等)

 

例外2:祭祀財産(祖先の祭りのために使用される家系図,位牌,仏壇,墓碑,墓地等)

これは祭祀を主宰すべき者が承継します。祭祀主催者は①被相続人の指定②指定がない場合には慣習③慣習が明らかでない場合には家庭裁判所の順で決まります。なお、遺言で祭祀主催者を指定できます。

 

例外3:死亡退職金

死亡退職金は、公務員や民間企業の従業員の死亡に際して、勤務先から受給権者に支払われる退職金です。

受給権者の範囲や順位は、法律・内規・就業規則等で決められており、受給権者が自己の固有の権利として取得するため、相続財産の対象とはなりません。

 

例外4:遺族年金

遺族年金も死亡退職金と同様に、受給者固有の権利であり、相続財産に属しません。

 

例外5:生命保険金

受取人が被相続人自身の場合には相続財産になりますが、受取人を被相続人以外に特定していた場合には、受取人固有の権利となり相続財産の対象にはなりません。

 

 

④相続分(「どれだけ」相続するか)

 

相続分とは、相続人が複数いる共同相続において、各相続人が相続すべき権利義務の割合、つまり積極財産(プラス財産)・消極財産(マイナス財産)を含む相続財産全体に対する各相続人の持分をいいます。

 

被相続人は遺言によって相続分を指定することができますが、この指定がないときに、民法の定める相続分(法定相続分)の規定が適用されます。

 

法定相続分

 

第1順位 死亡した人の子供

その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

 
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)

父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

 

第3順位 死亡した人の兄弟姉妹

その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

 

なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。

 

 

以上が、相続の基本原則となります。

まとめノートとしてご活用ください。

2014-09-12 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~遺言書とは~

本日は、相続にとって関係の深い遺言書についてお話しします。
遺言書ときいて、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

どちらかというと「後ろ向き」でネガティブなイメージを持たれるのではないでしょうか。
皆さん、そのイメージは誤解です!

遺言書とは、故人が最後の想いを伝え、残された方々がモメたり、トラブルが起きないようにするためには欠かすことができないものであり、けして「後ろ向き」なものではなく「前向き」なものです。

 
遺言に対するよくある誤解
①「円満な我が家に遺言は必要ない」
現在、家族が円満なのは、あなたが束ねているからではないでしょうか。

相続はあなたが死亡したときに発生します。

あなたがいなくなっても家族は、円満でしょうか?
②「遺言を残すほどの財産はない」
本人は「たいした財産でない」と思っていても、承継する側は「たいした財産」ということはよくあります。

平成24年度法務省司法統計の「遺産分割事件の財産額」によると、1千万円以下の遺産で紛争になり、家庭裁判所に調停が成立した件数が、全体の約3分の1におよびます。

「争続」とは、けしてサスペンスドラマに出てくるようなお金持ちに限った話ではないのです。
③「遺言は縁起が悪い」
遺言は「死」を前提としていますので「縁起が悪い」と考えられがちです。

しかし、私が業務を通じて知る限り、遺言を残して後悔した方は過去一人もいません。

むしろ、遺言によって「爽快感」と「達成感」を得られたという声をよく聞きます。

「爽快感」

今まであれこれと頭の中で思い悩んでいたことが、遺言書という紙にはっきりと表現されて、気持ちを整理することができる。

「達成感」

遺言を残すために法律を学んだり、財産を整理したり、人生を振り返ったり、家族のことを考えたり、遺言者はさまざまなことを乗り越えて遺言書を作り上げます。困難を乗り越えてできた遺言書を見ると、達成感を得ることができます。
④「遺言を残すにはまだ早い」

 
遺言書を残すには想像以上に心理的負担がかかります。

よって、遺言は心身の状態のよいときが「残し時」です。

また、民法963条では「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。」と規定しており、病気や高齢のときに残した遺言は「遺言能力に疑いあり」として無効となる可能性があります。
⑤「遺言を残したら行動が制限される」

「遺言に記載した財産は売却などの処分ができなくなる」など、遺言の内容に抵触する行為はできないと思っている方がいます。

しかし遺言は、死後行為であり、遺言者が死亡して初めて効力が生じます。

また、遺言の内容と抵触する生前処分の行為は遺言を撤回したものとみなされます。

遺言とは相手のいない法律行為ですので、本人の自由に変更したり撤回したりすることが可能です。

遺言を残したからといって、その後の人生を縛られるということはありません。

 

 

私は、死ぬことは生きることと同じぐらい大切なことだと考えています。

人間、誰もがいつかは、死にます。そのいつかのために準備することを、「後ろ向き」ではなく「前向き」に考えることによって、より「前向きに」生きていけるのではないでしょうか。

遺言書を作成しておけば、自分の意思を遺族に伝えることができます。

自らの意思を書面に表示することで、多くの相続争いを防止することができるのです。

 

 

2014-09-10 | Posted in 未分類No Comments » 

 

遺言・相続~相続は他人事じゃない~

 

こんにちは、尼崎の行政書士キタです。

 

前回の記事に書きましたように、私の事務所では「会社設立手続き」・「許認可申請」・「相続手続き」の3本柱をメイン業務としています。

今回は、その中でも皆様に興味を持っていただけるであろう相続業務のご紹介をさせていただきます。

 

私が相続業務をメイン業務にした理由は、何といっても「一般の方からの需要の高さ」です。

「終活」という言葉が2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされブームとなり、遺言・相続に関心がある人が増えています。

また、相続税は、これまでは「お金持ちに対する課税」とされていましたが、相続税の増税(平成27年1月1日死亡者より対象)により、「大衆課税」になります。相続税とは無縁と考えていた人も相続税の対象者になることが考えられ、決して他人事ではなくなります。

ちなみに、東京都行政書士会が毎年10月に行っている「街頭無料相談会」において、「遺言・相続・贈与」の相談が全体の6割近くを占めています。

 

そもそも、死なない人がいないのと同じく、相続手続きが発生しない人はいません。

 

相続と言うと、ほとんどの方が、財産の相続をイメージするかと思います。

しかし、相続には財産だけでなく、負債もあれば、権利、義務もあります。

相続が発生した時点で、借金、借家、携帯電話、銀行口座の契約すべてが相続の対象となり、そのすべてに相続手続きが発生します。

相続の手続きは、一般の方には、精神的・肉体的にかなりの負担を強いられます。その手続きをサポートし、お客様の負担を少しでも軽減するのが私の業務となります。

 

次回は、円満な相続を行うための遺言書についての記事を書こうと思います。興味のある方は今後も参考にしていただけると幸いです。

 

2014-09-09 | Posted in 未分類No Comments »